粛清者-新撰組暗殺録-
「おのれ貴様ら、壬生狼か!」

下の階での異変に気づいた志士達が、刀を抜いて近藤に襲い掛かる。

が。

「ぐはあ!」

近藤の凄まじい斬撃一振りで、一人の志士が階段を転げ落ちた。

「気をつけろ…今宵の虎徹は血に餓えておるぞ…」

眼に冷たい光を湛えて、近藤が愛刀の虎徹を構えた。

「凄いや近藤さん、いつにも増して強く見える」

総司がスラリと刀を抜いた。

彼とてこれ程の修羅場は初めてだ。

「全く…肝が震えるな…」

総司の隣で男が刀を正眼に構えた。

二番隊組長・永倉新八。

総司、斎藤と並んで新撰組組長三強に数えられる男だ。

「こういうのを武者震いというんだろうな」

「そうですね…!」

事実、総司も震えていた。

だがその震えと同じくらい、歓喜が止まらないのも事実。

「こんな晴れ舞台、人生に二度もないですもんね…!」

そんな言葉と共に総司、永倉、そして残る二人の隊士も志士達に襲い掛かった!

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