☆花咲く頃に.。.:*・°

寝ない様にゲームをしながら、そろそろ母を迎えに行く時間。

母はもう、玄関先で待っていた。

今朝は4度と冷え込んだ事もあり、夕方になると一段と寒さを増した。

だから今日は、いつもは暑い病院内が暖かく感じる。

病室に入ると父は窓際にベッドが移っていた。

『今日の検査も長かった。』

結局、お昼も食べられなかったみたいだ。

病衣はもう、着ていると言うよりは、着られている感じだ。

襟が乱れているのを見付けた母が『みっともない』と言う。

最初は黙って直す父。

今日の検査について聞いているうちに、また病衣は父の動きで着崩れる。

『ほら、またぁ…何でそうなるのよ?ちゃんと着なさいよ。』

悪気が無い分、厄介な母。

三度目には、父はとうとう

『じゃあ、お前が着崩れしないように、ビッチリ着させてみろ!』

怒鳴ってしまった。


私と父が並んでベッドに座り、母は椅子に腰かけている。

いつもの光景。

『耳が聞こえないから、自分の出る幕は、ない。』

おかーちゃん、補聴器は…?

ベッドを移動したら、仕事帰りに寄るはずの姉が迷うだろう事なんか話しながら

やっぱり姉にも携帯持たせようかな?何て本気で思った。

勤務中に呼び出す事だって減るはずだ。

『あ、それからね…』

唐突に父が切り出す。

『手術の日は、29日だって。』

「時間は?」

『それはまだだって。日にちだけ決まったみたい。』

私が始めようか?と思っていた習い事の開始と見事に被る。

はい、習い事、消えた〜。

「で?どーする?あんちゃんに連絡するだけ、してみる?」

最初は、土曜日にでも自分が電話すると言った父は、やっぱり私に連絡を頼んだ。

金曜か、月曜に、きっと病院から手術の説明の呼び出しがある。

その時に、もう一度、聞いてみようか?


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