この世界で君を愛す
「私も未知さんと渉さんのお役に立てて嬉しいんです。未知さん…本当にキレイですよ?びっくりするくらい…。」


「そんな。スタッフの方の腕がいいからですよ。」


真奈美さんはペロッと舌を出す私を見つめると言った。


「…いいんですか?」


「えっ?」


「本当にいいんですか?記念写真を撮らなくて。」


心配そうな顔をする真奈美さんに 私はニッコリと微笑んだ。


「いいんです。今日のことは…私達の心に残っていれば 写真はいりません。みんなの心のアルバムに残ればそれでいいんです。」


「そうですか…。」




渉が写真に写るのかどうか…わからなかった。


だから あえて写真はとらずに心にそっとしまうことにしたのだ。



永遠に色褪せない…心の奥に…。



真奈美さんはそれ以上聞いてはこなかった。




空は…だんだんと明るくなっていった。




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