天上のワルツが聴こえる
聖堂の中は、壁も床も真っ白で、平衡感覚を失いそうな造りだった。

廊下が、迷路のように続いている。

少女はフロルの後について、ゆっくりと進んだ。

全てが真っ白でよくは判らないが、だんだん上の方に登っているようだった。

夕闇にほの白く映えたドームの内部に、向かっているのかもしれないと思った。

たくさんの扉をくぐった。

そして、湾曲した長い廊下の右手に最後の扉があった。

帰って来たんだ…。

少女は、ふと、そんな気持ちになった。

そうだ。

自分は、ここで生まれ、ここへ帰る。

だから、あんなに心魅かれたのだ。
< 60 / 151 >

この作品をシェア

pagetop