「風様も、別れは悲しいですか?」

「私はお前のように、死ぬことはない。

だからこそ、目の前で私の前を命が過ぎ、巡っていくそのすがたを私はただ見守っている。


それでも別れとは、つらいものだろう。」


風は微かに微笑んだ。
僕も笑う。


「そういっていただけただけで、十分です。


風様、さようなら。」



僕は闇と共に消える。
命は巡る。それだから煌めく。


短くても、永くても、
それはきっと変わらない。



だから怖がることはきっとない。




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