最後に初めまして。
ヒロと百合さんが水族館の中を探していて、俺は一度外に出て車の周辺を探していた。

あの時ちゃんと連絡を付けて入れば…。

この言葉が頭の中をグルグルと回り続けていた。

プルルル…プルルル…。


「…はい。ヒロか。見つかった?すぐ行くわ。」

「…分かった。車で待ってる。ああ…悪い。」


俺は車の運転席に座り込んで煙草に火を点けた。

電話の相手はヒロで古都を百合さんが見付けてくれたと言う事だ。

ただ古都は今、俺の顔を見たくないと言って泣いている。

それを百合さんが話を聞いて説得しているらしい…。


「クソっ。なんて俺はマヌケなんだ!」

ゴン、ゴン!…プーッ、プーッ。

ハンドルに自分の頭をぶつける程やるせない気持ちでいっぱいだった。

真夕美の行動は読めたはず、独占欲が強くて何でも比較する彼女が古都の様なタイプを見たら放って置くはずはなかった。

そんな事冷静に考えれば分かりきった事…。

真夕美に説明すると泣きわめく事しか想像出来なかったのが嫌で逃げていたのかもしれない。

あの場でなら真夕美も泣きわめく事はないだろうと考え、説明するつもりだった俺の甘い考えの中に古都の気持ちは少しも頭に入ってなかった。

俺は本当に最低の男になってしまっていたのかも知れないな…。

自分が許せずにイラつきが止まらなかった。
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