赤い糸の繋がる先
その後はと言うと俺は義樹との帰り道の話しもそこそこに藍華との楽しいメールの時間を過ごしながら義樹と別れてからすぐに自分の家へと向かい歩いて帰った。
家に着けば部屋に向かい無造作に鞄をベッドの上に投げ捨てて、ベッドの上に腰を下ろした。
「あー疲れたー、藍華今何やってんのかなー」
俺は未だ藍華とメールをしながら誰もいない部屋の中、一人呟いた。
今アイツは何やってるだろう?
今アイツ誰といるんだろう?
今アイツは何を考えているんだろう?
考えれば考えるほど俺の中で藍華の存在が大きくなる。
好きで好きでたまらない…
だけど離れて行くにつれて藍華の姿が遠くに行ってしまうような気がする…。
昔から好きな気持ちは変わらない…
だけど大人になるにつれて上手く『好き』と言えなくなる。
俺の赤い糸は…
俺は自分の両手を見つめた。
勿論小指には赤い糸なんて見えない。
他人のは見えるくせに…
どうして俺自身の糸は見えないんだよ…
俺は深い溜め息を吐くと、両手を下ろし目を瞑った。