さよならとその向こう側
「・・・綾。」
父もお母さんも、心配そうに私の顔を見る。
ごめんなさい。
大人になってもこんなに心配かけて。
二人の顔を見ながら、そんな思いが溢れてきた。
「・・・お父さん、お母さん。本当に心配かけてごめんね。」
だから、そんな言葉が口をついて出てきた。
二人は涙ぐみながら首を横に振る。
「いいんだ、綾が無事ならそれで。・・・気にしなくていいから、早く元気な綾に戻ってくれな?」
父はそう言って、涙目のまま微笑んだ。
でも、ひとつ気になる事がある。
「ねぇ、お父さん・・・・・・神田さん・・・は?」