さよならとその向こう側
「…う……う…。」
もうどうしたらいいのか分からない。
静かに泣く事すら出来なくて嗚咽が洩れる。
「……彩夏。ごめんね、もっと早くこの手紙は読ませてあげるべきだったかもしれないわね。」
叔母さんはそう言いながら、優しく私の背中を摩る。
「…ううん。………今で…良かったよ…。…私…きっと………あの頃渡されても……読まなかっ…た……拒絶…した……と…思う…。」
「ありがとう彩夏。そう言って貰えると、叔母さん達も救われるわ。
あの頃の彩夏は、両親を一度になくして、ずっとふさぎ込んでいたし、何より事件の第一発見者になってしまって精神的にも追い込まれていたから。
だから、おばあちゃんと叔父さんと相談して、彩夏に事件を思い出させる様な事はしない様に決めたの。」
叔母さんの手が震えてる?
話を聞きながら、ゆっくり叔母さんの方を向く。
叔母さんは、静かに涙を流していた。