さよならとその向こう側
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その夜、遅番だった私は九時頃家に帰宅した。
「ただいま。」
ゴールデンウィーク初日。
さすがに疲れがドッと出て、シャワーでも浴びてとっととベットに入ろうと考えていた。
「綾。悪いんだけど、手伝って?」
お母さんは慌ただしそうな様子で、でも、リビングに気を使いながら私に声を掛けてきた。
手伝う?
振り返って玄関を見ると、父以外の男物の靴が一組並べてあった。
ああ、お客様か。
そう納得した私は渋々お母さんの所へ顔を出す。
「何すればいい?」
「ごめんね。疲れてるのに。・・・・・・これ、運んでくれる?」
大皿に乗ったオードブルをリビングに持っていく。
「おかえり綾。」
顔を赤らめ楽しそうに話す父の側には・・・・・・・・。
「おじゃましてます。」
相変わらず優しい微笑みを浮かべる神田さんがいた。