さよならとその向こう側
だけどここにいる事で、彼女の存在を嫌でも確認してしまう。


私達が形だけ別れてから、確実に大学に来る回数が増えている、彼女。




"佐和田 綾さん"




実は彼女との結婚を考えているだろう。

気持ちはどうあれそれは事実。





「こんにちは、これ良かったら皆さんで召し上がって下さい。」


手土産を私に渡しながら微笑む彼女は、『今から愛しい彼に会いに行きます』そんな幸せに満ちた表情を浮かべていた。




「ありがとうございます」

彼女に頭を下げながら、心の中で何度も叫ぶ。







『実をとらないで』

『もうここに来ないで』

『お願いだから…』



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