幼なじみ〜first love〜
「さっきおまえの携帯みてたら、芸能事務所の番号があった。いざという時、おまえがしたこと全部、事務所にバラしてやるって脅そうと思って…」




「それだけはやめて…!事務所にスカウトされて…部屋も借りてくれてるの…。あの義父の所に帰るなんて…一生イヤ…!」




栞は、俺の服の裾をギュッと掴んだ。




「あたしから…夢まで奪わないで……」




「こんなバカなことやってないで、夢の為に頑張れよ…」




「…ぅぅ…っ…」




「それと…きっといるから。栞のことを心から愛してくれる人、だから頑張れ…」




みんな怖いよ。

栞だけじゃない。




人を信じることも、人を好きになることも。怖いよ。


裏切られて嬉しい人間なんかこの世にいないよ。


でも人は幸せになりたいから、人を好きになる。




「でも愛してくれるのを待ってるんじゃなくてさ、栞がまず心から人を好きになれ…」




裏切られても


信じ続ける強さを


負けない強さを


どうかまた、立ち上がれるように…




どうか…神様…


栞を見守ってやってください




「ありがと…蒼くん…」




栞から、高梨の写真のネガを返してもらった。




これで、何もかも終わると、そう思っていたのに……。
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