幼なじみ〜first love〜
「ええねん…隠さんでも……」




「誰から聞いたの…?」




蒼に別れを告げられたこと…


遊也も知ってたんだ




「まぁ…それはええやん」




きっとケンちゃんから聞いたんだね。それしか考えられない。




「あたし…」




外せない……


蒼からもらった

大切な指輪




「あたしは蒼以外、誰も好きにならないから……」




俯いたまま、両手でスカートをギュッと握り締めた。




遊也のため息が聞こえて、あたしは顔を上げた。




「アイツと最後に会うてから、もう…何年や?」




「……3年」




17才の時、蒼と過ごしたあの3日間を最後に、蒼とは会っていない。




「俺に…とやかく言う権利なんてないかもしれへん…、せやけど、蒼のことはもう忘れた方がええんちゃうか?」




胸の奥がぎゅっと苦しくなった。




遊也に、そんなこと言われるなんて思わなかった。




「…忘れられない…蒼のことは絶対に……」




忘れられるわけ…ないじゃん……




「蒼は…もうおまえのトコに戻ってけぇへんよ?」




勝手なことばかり

言わないで




「…そんなの…遊也に何でわかるの…」




泣きそうになるのを、必死でこらえようとするほど、話す声は震えた。




「蒼のこと信じてるんか?裏切られたのに…」




聞きたくない

聞きたくない




勝手なことばかり

言わないで




「遊也には関係ないっ!」




感情を抑えられずに思わず大きな声を出してしまい、慌てて口を押さえた。




あたしの声に、周りの視線も感じた。遊也が周りに「すみません」と会釈をする。




「…俺は関係ないやんな。…そんなの昔から、わかってるで」
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