幼なじみ〜first love〜
ケンは、鳴り止まない携帯の画面を見つめている。




「……遊也、美々から電話だ」




「はよ出ろや」




ケンは、頷き電話に出る。




「…美々?…うん、今…遊也といる…うん。…今から?わかった…おまえは来なくていいよ。夜道…心配だから…俺が行くから待ってて……ピッ」




遊也は、立ち上がってビールの空き缶を片付け始めた。




「やっとくからええよ。早く行って、美々にちゃんと伝えて来いや」




「遊也…わりぃ。今度、飯おごるっ」




「おぉ」




バタン……―――




ケンは、美々の所へ向かった。




うまくやれや…ケン




ケンは、美々一途やし




美々もずっと…ケンだけやん




おまえらは

大丈夫やろ……―――




せめて

おまえらだけは




幸せでいてくれ………




俺は、タバコを吸う為にベランダに出た。




「…スゥ…――…ふぅ……」




タバコの白い煙が

空に消えていく




「やっと…思い切り泣けるやんか……」




夜空を見上げても




祈りは届かない……




蒼…絢音…

おまえらの運命は




変えられへんのか……?




タバコを持った手が微かに震える。




情けないで…俺




結局
何もできへん




泣くことしか

できへんのか……―――。
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