幼なじみ〜first love〜
母ちゃんは

俺を




愛してくれたかな…




一度でも…俺を…




『一度もない…?幸せな記憶…』




幸せな…記憶……




小さい頃から

父ちゃんも
母ちゃんも




ほとんど家にいなくて




でも…




小学生ん時

俺の大好きなハンバーグを作ってくれた




母ちゃん…料理ヘタで




見た目ぐちゃぐちゃだったけど




すげぇ嬉しかった……




『死んでしまっても…幸せな記憶は消えないから…お母さんは蒼の心の中で生き続けていくんだよ…ずっと…』




自然と涙が流れてくる…




『沙羅はね、パパから聞いたママの記憶しかないけど…ママは歌が好きだったらしいの…。沙羅の声はママの声にそっくりだって…だからこれからもずっと歌い続けるんだ…』




『俺も沙羅の歌声…好きだよ…』




『蒼のお母さんにも…届くといいな…』




そう言って沙羅は、空に向かって歌い始めた。




透き通るような

優しい歌声……




天使のような




俺は目を閉じて




沙羅の歌声を聴いていた






俺の涙が

枯れ果てるまで




沙羅は

歌い続けてくれた……―――。
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