幼なじみ〜first love〜
母ちゃんが死んでから、俺は抜け殻のようで…




俺は家の近くの噴水広場でボーッと空を見てることが多くなっていた。




『あーおっ!』




芝生の上で寝転ぶ俺を、上から沙羅が覗き込む。




『沙羅…』




『ふふっ…』




『学校サボって何してんだよ…』




『それはこっちのセリフ!沙羅はもぉ卒業するからいいけど、蒼はまだあと1年あるんだからね?学校サボってばっかりじゃだめだよ…?』




『ん…わかってる』




『空…きれぇだね……』




そう言って沙羅は、俺の隣に寝転んだ。




目を閉じると、太陽の匂いがする…




俺の心を

暖かく包み込んでくれているような気がした…




『ねぇ…蒼、沙羅にはわかるよ…。お母さんがいない寂しさも…お母さんが死んでしまった悲しさも……』




沙羅の母親は、病弱だったらしく、沙羅を産んですぐに亡くなっている。




沙羅には母親の記憶がない。




『沙羅を産まなきゃ…ママは死ななかったのに…ママが生きていたら…パパは寂しい思いなんてしなかったのにって…』




沙羅は俺の手をぎゅっと握りしめた。




『でもね…自分の命かけても産んでくれたママに、謝るのはもうやめたの…』




『うん…』




『愛してるから産んでくれたんだよね…蒼…子供を愛してない母親なんていないよ…』




『…沙羅……』




『蒼のお母さん…蒼を愛してたよ…絶対…忘れないで…』
< 671 / 1,010 >

この作品をシェア

pagetop