幼なじみ〜first love〜
「俺にはもう…家族はいねぇから…」




憎しみ

悲しみ

苦しみ




寂しさ

愛しさ




涙……




感じる心、全てなくなればいいって


何度も

何度も


俺は唱え続けてきた




「遊也から…全部聞いたんだ…。今まで蒼に何があったのか…」




「…ケンには…言えなかった……」




「わかってる。遊也に言われた…。俺も美々も正しいことを選ぶから…って」




「…………」




俺は、何も言えずに、コーヒーのカップを見つめていた。




ケンは、コーヒーを口にして言った…




「今までも…今も…何にもできなくて、ごめんな…蒼……。おまえは俺にとって大事なヤツだから…おまえには…幸せになって欲しいんだよ……」




「ケン……。俺には…幸せになる権利なんて、ないよ…」




罪を犯したら

罰を受ける




償うために生きてゆく




俺のいくつもの重ねた罪




大切な人たちの

心を壊した罪




「蒼は、償いの為に…沙羅といるんだろ?」




「…償いや責任っていう気持ちが全くないって言ったら、嘘になる……」




「こんなこと、俺に言われなくてもわかってんだろ?」




「沙羅は…俺と同じ……。アイツはひとりぼっちなんだ……」




沙羅の母親は、沙羅を産んで亡くなった。




沙羅の父親は、俺を庇い亡くなった。




兄弟もいない…




沙羅は

ひとりぼっち……




「俺には…沙羅を捨てることなんてできねぇよ…」
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