幼なじみ〜first love〜
ケンは、落ち着かない様子で、タバコを口にくわえ火をつけた。




「フーッ……――…確かに、沙羅は可哀想だとは思うけど、沙羅の父親が死んだのは、蒼のせいじゃないだろ…?」




あの日も、沙羅の父親が疲れていたのは知っていた。




それでも俺の為にキャンプへ行こうと…




沙羅の父親は、俺を本当に可愛がってくれたんだ。




優しくて、温厚で…俺も大好きだった。




沙羅……ごめん




沙羅のたったひとりの家族を




大好きだった父親を




死なせてしまって……―――




「俺のせいだよ…俺のせいで死んだんだ…」




俺は、拳をギュッと握りしめた。




「…それに、俺は沙羅の大事なモノを同時に奪った。沙羅の父親と…夢までも…」




歌手になる夢さえも




俺がツラい時

いつも励まし、癒してくれた




あの優しい歌声さえも




俺が奪ったんだ




「だから俺は…沙羅のそばにいる。沙羅にはもう…俺しかいないんだよ…っ」




俺に何ができるわけじゃない




それでも沙羅は


俺を求めてる……




だから俺は

一生を懸けてでも




沙羅の心からの笑顔を




取り戻してやりたい……―――
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