幼なじみ〜first love〜
走り出した車の中、本当は眠くなどなくて、でも目を閉じて寝ているフリをしていた。
早く言わなきゃ…
到着する前に言わなくちゃいけない
遊也はあたしと
2人きりでクリスマスを
過ごすって思ってる
雪山にスノボーをしに
一泊二日の旅行
言わなきゃ…向こうに着いたら待ってる
沙羅と……蒼が……
何で今日まで言えなかったんだろう…
遊也に言ったら
誤解されちゃうんじゃないかって
まだ忘れる気ないの…?
忘れるって約束しただろって…
蒼に逢いたいのかって……
そんなふうに言われるんじゃないかって
怖かった……
遊也がどんな顔をするのか
あたしまた遊也を
傷つけるんじゃないかって……
怖くて…
もぉ…君を悲しませたくなくて……
言えなかった
でももう…引き返せない…
車は高速道路のサービスエリアに立ち寄り止まった。
「……絢音っ?トイレとか平気なん?」
「うん…大丈夫……」
「ほななんかラーメンでも食おかっ」
運転席から降りようとした遊也の手を掴んだ。
「遊也…ごめん…嘘ついてた。今日ね…2人きりじゃないの…」
「…なんなん?」
「ダブルデートしようって言われてて…遊也にずっと言えなくて…遊也嫌がるかなって思って……」
「まぁ確かにな、絢音と2人きりがええっていうのはあるけど。別に嫌がりはせえへんけど…何で黙ってんねん…美々とケンやろ?」
「……違う…ミミちゃんとケンちゃんは温泉旅行だって…」
「ほな…どこのカップル…?」
「…沙羅と……蒼……」
遊也の顔が見れなくて、俯いた。