幼なじみ〜first love〜
「蒼は沙羅の前で、いつも優しいから…蒼が何で泣いてるかも、何を悩んでいるかもわからない……」




本当は…全て

わかってる




蒼の気持ち…全て




「そぉ…なんだ…」




絢音ちゃんは明らかに動揺していた。




「今の話は聞かなかったことにしてねっ?」




「うん…」




「そういえば、場所はよくわからないんだけど、この雪山の中に願い事が叶うっていう鐘があるらしいの…」




「へぇ…願い事が叶う鐘?行ってみたいねぇー!」




「その鐘を鳴らすと、何でも願いが叶うって云われているみたいで、地元の人にはかなり有名らしくて…行こうと思ってたの」




「それでここのホテル予約したの?」




「うん…蒼が少しでも元気になればいいなって思って…願かけでもしようかなって」




私が絢音ちゃんの目を見て微笑むと、絢音ちゃんもつられて笑った。




「沙羅…本当に蒼のこと好きなんだね」




「でもね…急に雪が吹雪いて来ちゃったし…明日もこのままだったら、行けないまま帰ることになっちゃうかも……」




「そっかぁ……」




俯く絢音ちゃんを見て、私は微笑む。




「…そぉいえば、夕食のケーキ美味しかったね…!」




私が話を変えても、絢音ちゃんは、うわのそらと言う感じだった。




思いのまま…感じて


混乱してくれればいいよ




あなたの心は

すごく弱いこと知ってる




そう私の思うままに


罠にかかって




この子が

単純でバカでよかった




私の思うままに

転がってくれて……



本当…バカな子
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