幼なじみ〜first love〜

「あっ…2人ともおかえり〜!今ちょうど紅茶入れたとこだよ」




部屋に戻ると、沙羅がティーカップを片手に持ちながら、あたしたちを出迎えた。




「俺、悪いんやけど…先に寝るわぁ」




遊也は沙羅から、コップを受け取り一気に飲み干した。




「なんだよ、遊也…トランプでもやろーぜ?」




ソファーに座る蒼が振り向き言った。




「遊也ね、頭痛いんだって…そっとしておいてあげてよ蒼…」




「大丈夫かよ…遊也…」




「あぁ…大丈夫や。3人で楽しくやってや…」




遊也はベッドの上に横になる。




その後、気まずい気持ちだったけれど、3人でトランプをしたり、テレビを見たり、ゆっくりと穏やかな時間を過ごした。




テレビでは、どのチャンネルをつけてもクリスマス特集ばかり。




蒼はいつのまにかソファーに座ったまま眠ってしまっていた。




「絢音ちゃん、うちらもそろそろ寝よっか…」




沙羅がソファーで眠っている蒼を起こさないように毛布をそっと静かにかけた。




「沙羅は先に寝てて?」




あたしはダウンジャケットを着て、ニット帽を被り、マフラーを巻いた。




「こんな時間に、どこか行くの?」




「すぐ帰ってくるから、心配しないでっ」




「絢音ちゃんっ…?!」




「大丈夫だよ!沙羅は先に寝ててっ」




そう言ってあたしは、部屋を飛び出した。
< 806 / 1,010 >

この作品をシェア

pagetop