幼なじみ〜first love〜

“絢音の父親でいたい”




この言葉はあたしの心に深く突き刺さった。




「俺だって、たくさん悩みました。遠回りもしたし、周りの人のことを考えたら、やっぱり俺たちは結ばれるべきじゃないことも…。」




「だったら…もう諦めてくれ」




「でも俺の大切な人が教えてくれました。“一度しかない人生、想い合えたことは奇跡だと…大切なモノ見失ったらあかん”って」




蒼…遊也のこと言ってるんだね




「俺は絢音に出逢う為に生まれてきたし、絢音がいるから生きたい…そんなふうに思える人とこうして出逢えたから。だから…絶対に諦めたくない…!!…お願いします…涼介さん…認めて欲しい…俺たちのこと…」





「……すまない…蒼……けど…絢音をそこまで愛してくれて……ありがとう……」




「何度だって…来ます…。許してもらえるまで…」








――……




あたしたちは、新しい人と暮らしているママの所にも何度も会いに行っていた。




ママが蒼の目を見ることは、一度もなかった。




“絢音のママでいたいの”




“どうして他の人じゃダメなの?”




ママもパパと同じで、蒼とあたしのことを認めてくれることはなかった。




ママは、蒼を憎むことで、なんとか立っていられると…生きていけると…だから諦めてと、そうあたしたちに言った。




初めからわかっていた




それでも遊也の言葉や




遊也の想いがあったから




あたしたちは諦めなかった




今のあたしたちを動かしているのは遊也だよ




なんとかして認めてもらおうと、3ヶ月近くこのようなことを続けていた。




それでも状況が変わることはなかった。
< 911 / 1,010 >

この作品をシェア

pagetop