女子高生夏希のイケメン観察記
その声が存外に淋しげな色を帯びていたので、私は、コメントに窮してしまう。
智さんは、車のエンジンをかける。

そうして、気分を変えるためかわざとのようにからりとした明るい声で続けた。

「だから、冗談でもチホちゃん、なんて呼ばれるとぶった切りたい気分にさらされてね」

なんてことない口調で、ぶっそうなコトを言うのはいかがなものかと思うのですが。

「とはいえ、それが、刀匠との出会いなんだから皮肉なものだよね」

……ひええええっ。

それって、もう。
本気で相手をぶった切ろうとしたっていう意味ですかね?

ぶるぶるぶる、と、思わず首を横に振ってから運転席の智さんを見る。

ちょうど赤信号で停止したのか、ふっと私を見る智さんの瞳は宝石のごとく美しく煌いているものの、その奥に潜む思考はぶっ飛んでいるというか、極端というか。


百歩譲って、「凝り性」ってことにしておきましょうか。

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