女子高生夏希のイケメン観察記
「刀匠だから、日常的に和装なんですか?」

せっかくだからと思って、切り出してみた。
だって、毎日絶対に着物姿なんだもん。

現代社会では、どちらかと言えば不自然だわ。

「ああ、これ?」

智さんはアクセルを踏みながら、くすりと笑う。

「これは久遠と競ってんの。
 日常生活、どれだけいつまで和装で過ごせるかって。
 最初は奏も参加してたんだけどね」

……変わりもののイケメン集団っていう認識で、間違ってないですよね?

街中なんかで、ものすっごく目を引きそう。
いつからなのかしら?

好奇心の虫が疼く。

「奏はほら、家の経営が厳しくて花屋開かないといけなくなったからさ。
 あっさり止めちゃった」


私の中に芽生えた好奇心の虫は、その一言で、しゅんっと消えてしまった。

「奏さんのご実家って?」

だって、そっちの方が気になったんだもん。

「華道家元」

智さんは、なんでもないことのようにさらりと言った。


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