ベイビーベイビーベイビー
 
 しかしである、今朝は始業時間の9時近くなっても、真理江はなかなか会社に現れなかった。

 珍しいこともあるものだな、と思いつつも、普段どおりにPCを立ち上げていると、普段あまり冴子とは話しをする事のない一人の男性社員が近づいてきた。

 中間管理職ゆえ休みをとれなかった本多課長であった。


 本多は冴子の隣まで来ると、

「今日、小林さんは体調不良でお休みだってさ」

と、冴子が想像もしない事を告げた。

「えぇっ? それ本当ですか?」

 冴子は驚き、横に立つ本多の顔を見上げた。

「あぁ、何だかひどく具合が悪そうだったぞ。まぁ、今日はヒマだしな。こんな時くらいゆっくり休まないとな」

 本多はそう言って、これまであまり有給休暇を取る事をしなかった真理江を労った。


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