ベイビーベイビーベイビー
よくよく考えてみれば、勢いでこんなところまで押しかけてしまったが、藤堂は自分が何をしたいのかよく分からなかった。
決して麻美の縁談を壊したいわけではない。
ただ、小島なる人物と一緒になることに関して、どうにも応援できなかっただけであった。
実際に会ったことはないこの小島という人物の、口の減らない大変な見栄っ張りで、冗談の通じない性格に、このところの藤堂はうんざりすることが多くあった。
藤堂がこのところ【Indastry】を覗くことが疎遠になっていたのも、仕事終わりの空いた自由な時間に、中途半端な「友だちの友だちの友だちの・…」に気を遣うことが、やや面倒に思えたからであった。
ソーシャルネットワークに興味を抱き、知人の集まりであるという安心感から始めたことであったが、その「友だちの友だちの友だち……」という中途半端な関係は、少し窮屈であった。