ベイビーベイビーベイビー
ここで小島の話をしたいところだけれど、藤堂は迷った。
ウェブ上とはいえ、男同士の会話の中で小島が打ち明けた胸の内を伝える事は、なにかルール違反であるような気がした。
それにそれを聞いて麻美が落ち込むようなことにあるならば、それは藤堂の望むことではなかった。
「あ……ほら、見合いって珍しいからさ。
初めて聞く話ばかりだから、興味津々っていうか」
そうなれば、もはや藤堂はそう言って誤魔化すしかない。
すると、
「あぁ、なるほどね。
藤堂さんも“お年頃”だから、これからお見合いをする機会もあるわよね」
何やら先輩風を吹かせながら、麻美は意外な推理を始めた。
「僕が見合い!?まさか!!」
確かに恋人のいない自分が麻美の世話など焼いている場合ではないのであるが、しかし誇れるものなどひとつも持ち合わせていない自分には、見合いなど一生無縁である気がした。
思いがけない推測を受け、藤堂は心底驚き、慌てて否定をした。