ベイビーベイビーベイビー
真理江は不倫など、毛頭するつもりはなかった。
前にも述べただろうか、真理江は男女間の距離の取り方においては、常に慎重で、理性的であった。
そのため自分が不倫などという選択をしてしまったゆえの悲劇に、今は汚らわしさすら感じてしまう。
祥吾の離婚話が進まないことを「仕方がない事もある」と信じ、結婚を諦めていた自分自身のセンチメンタルな感情もひどく情けなかった。
真理江は自分の都合のいいように考え、そして祥吾にとっても都合のいい女に成り下がっていたに過ぎなかったのか?
理性のない恋愛を軽蔑していながら、結局自分のしていた事は「不倫」以外の何物でもなかったのであった。