爆走ハラスメント〜ツンデレ生徒会と硬派な王子達
ピッビッピッピッピッ…あは〜ん、いや〜ん、そこはだめ〜ん。


「はい、どうした?」


センスの悪いコール音が流れた後に、低く落ち着いた声の男性が電話に出た。


「お兄ちゃん…何そのコール音?コール声?って言うの?…いや、もういいわ…。それよりうちの学校に引き取りに来て欲しいモノがあるんだけど。」


相手は葉子の兄、太陽(タイヨウ)だった。


太陽は葉子の言わんとしている事を分かってか、分からないでか、軽く「いいよ。」と言うと、言葉を続けた。


「分かった。10分で着くから、校門に立ってて。立ってなかったらお兄ちゃんの肛門を。」


ピッ。ツーツーツー


葉子は電源を切った。


葉子はこんなアホな兄が大好きだった。


冷えたり熱くなりすぎたりを交互に繰り返していた頭も、兄のアホな言動で、いつもの調子に戻ったようだった。


葉子が電話を切ると、真幸と和葉、そしてディランまでもがしゃがみ込んで笑いを堪(コラ)えていた。


どうやら声がダダ漏れだったようだ。おそらくコール音も。


ディランに到(イタ)っては、ツボにジャストミートしてしまったようで、呼吸困難に陥(オチイ)っている。
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