爆走ハラスメント〜ツンデレ生徒会と硬派な王子達

「葉子ちゃん、大丈夫？落ち着いた？ディラン先輩、先輩が心配する事は何もないですよ。葉子ちゃんには、ちゃんと考えがあって《格闘技部》を作ったんです。」


和葉は葉子の傍に行くと、葉子の背中を優しく撫で、話を続けた。


「先輩は真幸君との試合に集中して下さい。じゃないと、ウチの真幸君は強いから、負けちゃいますよ。」


葉子は宥(ﾅﾀﾞ)めるように、優しくディランに微笑んだ。


ディランは少し考え込んでから口を開いた。


「…分かった。今度の試合で俺が勝ったら、葉子ちゃんには部活を辞めてもらう。」


ディランは、何も分かっていなかった。


思わず葉子がずっこける。


「いや、あんたそれ分かってないでしょ。」


ソファーの背もたれに深く座り込んだ葉子は、眉間に皺を寄せて、拳でこめかみを押さえた。


「分かってる！分かってるけど…やっぱり心配だ。俺の中では、葉子ちゃんはいつまでも小さい時のままだから。」


ディランは真剣な面持ちで、目を輝かせながら葉子に打ち明けた。


葉子は和葉と顔を見合わすと、冷めた目で天井を仰(ｱｵ)いだ。


そして携帯を取出し、ボタンを押した。