メトロノーム 【完】
帰りの車の中。

沈黙が続く。



こうちゃんはこんなにも私のこと、大切にしてくれたのに。

なんで隼人が浮かんでくるの?

こうちゃんの彼女になれば幸せでいられるのに。

同じ傷を持った者同士傷つけることは絶対ないのに。




涼太と同じようにこうちゃんも傷つけてしまった。

甘えるだけ甘えて結局は気持ちに答えずに。




「七海?」

いつもと同じ運転席で。

いつもの声で。

こうちゃんが私の名前を呼ぶ。

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