メトロノーム 【完】
体育館前に自転車を止めると、「七海!」と背中から声がする。

「ごめん、ギリギリ?!」

「大丈夫、来てくれてありがとう。じゃ、行ってくるわ。」

「うん、頑張って!! 応援してるね。」





ピーッ!!

笛の音と同時に上がるボール。

私は2階に上がり、ボールを目で追い始める。



1年生でスタメン入りしているのは、隼人くんだけ。

背が高い隼人くんは、試合中も目立っていた。

私の隣で応援していた女の子達も『あの人誰?』なんて騒いでいる。




隼人くん。

校舎が違うせいか、あまり会うこともなかった。

話したことなんて、もちろんない。

あの時・・・空気が止まったあの瞬間。

あれはなんだったんだろう?
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