メトロノーム 【完】
何が頑張れなのか、バスケについて無知の私は軽い言葉で応援してしまったけれど

隼人くんはクルっと体をひるがえし、シュートを決めた。




私は大声を出したことに今更恥ずかしくなり、赤くなった頬のまま隼人君をチラリと見る。

襟で汗をぬぐっていた隼人くんも私に視線を合わせる。

私の心臓が跳ねた瞬間、隼人くんは無表情のまま、左手を突き出しピースをした。

焦りながら不恰好なピースを返す私に、隼人くんは少し笑い、またボールを追いかけていった。
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