Drop Piece
あたしが怪訝そうに見ると、晴翔くんがあたしの腕のなかを指差す。
「台本貰いにきたんだ?じゃぁ、壱流も貰ったんかなー…」
ボスザルが貰ったかどうかは知らないですよ…。
「レコーディングじゃなかったんですか?」
ボスザルの話題は気まずいから話を逸らした。
「なんで知ってんの!?」
「琉飛が言ってました」
晴翔くんは余計目を丸くした。
「琉飛から?」
「はい、琉飛が明日レコーディングなんだって」
へー、と言いながらあたしをまたじっくり見始める。
あたしなんか変かな…。
「琉飛から…かぁ。珍しい…」
「…はい」
二人の間に沈黙が走る。
気まずさがレベルアップしてるよぅ…。
何か話題、と思い悩んでいたら、先に晴翔くんが口を開いた。
「…演技好きなんだ?」
「え?」
「俺さ、前にお前がやってたドラマ見たことあんだよ」
予想外の言葉に少し狼狽えた。
「あ…りがとうございます」
「その時さ、すっげー楽しそうに演じてんの見て、演技好きなんだって思った。どんな役でも不自然さがなくてこいつすげぇっ!って」
無造作な黒髪をくしゃっ、として照れたように笑う。
…嬉しい。
演技を誉められると素直に嬉しい。
気まずさで固かった顔も緩み、思わず笑顔になる。
「ありがとう」