Drop Piece
『当たり前だよ、みかんヒロインだよ?』
「だ…よな」
来る、と聞いた途端余計弾みだす心臓。
わけわかんねぇ、とソファに座り込んだ。
『晴翔』
落ち着くために用意してあったコーヒーを一口飲む。
「…なんだよ?」
『みかんのこと光って呼ぶようになったんだ?』
「ぶっ!!」
俺の口のなかに含まれたコーヒーは再び外へ。
『汚いよ、晴翔』
「な!っおまっ!!別にたまたま!たまたま会っただけだからな!」
『会ったんだ?』
顔は熱くなるし、心臓はうるせぇし散々だ。
それに琉飛からもう逃げれない気がする。
「休憩で…会ってさ、差し入れに貰ったケーキやったんだよ」
『うわ、晴翔。餌付け?見損なったよ』
「ちげぇっつーの!…で、その時とか…さ、光、すげぇ笑顔なの」
『はっきり言いなよ、晴翔』
「………っ。笑顔、やべぇなって思った」
部屋を出ていく瞬間のはにかみながら少し下を向いて笑顔で、晴翔と呼ばれた時死ぬかと思った。
『変態っぽいよ、晴翔』
「な…っ」
『声にでてる』
壱流。
怒っかな…。
後ろに不動明王を携えた壱流の姿に身震いする。
『ヘタレマンにしては頑張ったね』
「誰だよ!ヘタレマンって!!」
『晴翔』
「……」
思わず黙ってしまった。
「実は、さ、メアド聞けなかったんだよ…な」
名前だけで精一杯だった。
『やっぱヘタレマン』
「うっせーよ!」
今はバラエティの収録なんて頭から消え、明日の壱流のドラマの撮影でいっぱいだった。