コガネ《短》
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「ユキー!カラオケ行こうぜ!!」
いつものように放課後のベルと同時に教室を出て、やや早足で図書館へと向かっていると、後ろから幼馴染のケイタが声をかけてきた。
ケイタは、推薦で既に希望の大学に合格しており、毎日暇だと叫んでいて遊ぶ相手を常に探している。そんなときは幼馴染の俺が相手をしてやらなければとは思うけれど、生憎今の俺には絶対に外したくない用事がある。
俺は、ケイタの声に応えずにそのまま足を進めた。
背後から「つまんねー」という、ケイタの拗ねたような声が聞こえ、今度は付き合ってやろう、なんて果たせるかどうかもわからない適当な約束を、心の中で呟いた。
「図書室」と、達筆で書かれた札が真上に掛かっている古びたドアを開ける。
黒板を爪で引っ掻いたような耳障りな音に、眉間にシワが寄る。
靴箱に、今日もまた小さくて丸っこいパンプス以外にはひとつも靴が並んでいないことを目で確認し、脱いだスニーカーを一番上の段に乱暴に押し込んだ。