コガネ《短》
息が、止まった。
今、腕の中に先生がいる。
先生は相変わらず穏やかな寝息を立てたままで、俺ひとり、非常にまずいこの状況に焦っていた。
甘い香りがふわりと溢れる。
柔らかくて、少し力を入れればすぐに壊れてしまいそうな感触に、俺の中のもう一人の俺が、何重にもかけた鍵をこじ開けようとしていた。
まずい。
落ち着け!
生徒に見られたらどうするんだ!
そう考えると、嫌な想像しかできず、もう一人の俺は物凄い勢いで意識の彼方へとふっとばされる。
腕に力を込めて、拒否反応を示す自分の体を、無理矢理先生から引き剥がす。
そこでやっと、先生が薄く目を開けた。