ぎゅっとして
いつの間にか、慧はあたしを『優衣』と名前で呼ぶようになっていた。


それならと、あたしも慧を呼び捨てにするようになって。


取ってる講義も大体一緒で、気付くと後ろの席にいる慧。


「慧君て、優衣のこと好きなんじゃない?」


なんて美玖に冷やかされることもあるけど。


そうじゃないんだ。


慧は遅刻常習犯で。


しかも講義中も居眠りしてることが多い。


だから、いつも生真面目に講義をノートにまとめてるあたしと一緒にいるのが便利だと知ってるんだ。


あたしのことなんて、全然女として見てやしない慧。


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