ぎゅっとして
「優衣といると、他の女が寄って来ないから楽。鬱陶しいんだよ、あれ」


なんて平然と言ってのけるんだから。


「そんなこと言ってるといつか刺されるよ。それならいっそ、彼女作っちゃえばいいじゃない。好きな子とかいないの?」


「いない。この大学、いい女いないし」


「そんなことないよ。例えば・・・・・あ、ほら、彼女とか」


そう言って指したのは、カフェテリアで数人の学生とおしゃべりしていたきれいな人。


確か、前に美玖が言ってた。


去年の、うちの大学のミスに選ばれた人だって・・・・・。


ちらりと、その彼女に視線を送る慧。


「へえ、本当だ。あんなきれいな人、うちの大学にいたんだ」


ずきんと、胸が痛む。

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