占いの館へようこそ
しのぶは水晶玉を取り出しテーブルの上に置いた。

蝋燭の炎が水晶の中にゆらゆらと揺らめき、不思議な雰囲気を漂わせる。

本当はカードでの占いの方が楽なのだが、前田の性格を考えると水晶の方が良いと考えた。


「これで見るのか?」


前田は鼻先を押し付けんばかりに顔を近付け水晶を見つめていた。

しのぶは水晶に手を翳し、目を閉じ、占いを始めた。

大袈裟に手を翳すのは一種のパフォーマンスなのだが、始めた途端に前田は大人しくなった。


「…相性はあまり良くないようです」


しのぶの言葉に前田は怒ったような表情を見せた。


「彼女は現在、一人の人を愛するよりも大勢の男性にちやほやされることに喜びを感じているようです。

ですから、前田様に限らず全ての男性と一定距離を保っておられるのではありませんか?」


前田が身を乗り出してうんうんと頷いている。

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