空の少女と海の少年

◇ようこそ学園へ



綺麗に手入れされた広い庭園の向こうには
真っ白で大きな建物が立ち並び
その中心には七色の水が噴き出す噴水

まるでひとつの街

4人は目の前に広がる光景に目を疑った


「すげーっ!でけー街!!!」

「きれーいっ!」


目を輝かせて街を見つめる陸と春は
見慣れない建物や花々を見つけては
小さな子供のように騒いでいる

奈々と海斗は2人の騒ぎように
ほぼ同時に溜め息をつくと
この状況を作りだした張本人に
穏やかに(力尽くでも)話を聞こうと
男のいた方へと振り返った


「ちょっとあなた。これは一体どういう」


いない

さっきまでいたはずの
暑苦しいスーツの男がいない


「…いないわね」

「…ああ、いないな」


楽しそうに騒ぐ春と陸とは対象的に
無表情で男のいた場所を見つめる2人は
淡々と言葉を紡いだ


あの男、次に会った時はーー


奈々と海斗は同じ事を思い
不敵な黒い笑みを浮かべた


_
< 13 / 652 >

この作品をシェア

pagetop