空の少女と海の少年


「えっ!?…えええっ!?なんで、お前…え!?」


海斗の肩に乗る少女と後ろに立つ少年を
交互に見て混乱する陸に少年は笑った


「お兄ちゃん面白い~。なんかこんな反応久しぶりだな~」

「あなた達は双子なの?」

「そーだよー…っと!玲お待たせ~」


海斗の肩から降りた少女は
少年の元に駆け寄ると2人は
海斗達に背を向けて歩きだした

いつのまに

海斗が春に視線を向けると
すっかり顔色の良くなった春が
パチクリと目を開けていた


「春?大丈夫か?」

「うん、なんか…すっごい元気になった!!なんで!不思議!」

「待って!あなた達は…?」


奈々の声に振り返った双子は
笑顔で手を振った


「そのうち分かるよ~」

「またね~」


双子を乗せたエレベーターの扉が閉まる

何だったのだろうか
考える前に間伸びした声がして
海斗は春を降ろした


「助かった…のかしら?春、本当に大丈夫?」

「うん!凄い元気になった!あの子に今度お礼言わなきゃね~」

「ま、何はともあれよかったな!ほら、部屋に入ろうぜ!」


陸はそう言って奈々の肩を抱いて
隣の部屋の扉を指差した

奈々が首を傾げると陸も首を傾げた


「私と陸が同室?」

「恋人同士なんだから当然だろ?」


キメ顔でそう言った陸に
奈々は黒い笑顔を向けた


「恋人同士なった覚えなんてないわよ!!」

「ひどいっ!」


陸を重力の塊で押し潰すと
唖然とする春の手を引いて
さっさと部屋に入ってしまった奈々に
陸はシクシクと涙を流した


「いつまで寝てんだ。早く入るぞ」


いつもの光景に特に驚く様子も無く
鍵を開けて部屋に入る海斗の後に
陸は急いで続いた


ドアの閉まる音の後
廊下に静けさが戻った



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