空の少女と海の少年


お父さんとお母さんがいる生活は
孤児院にいる時よりも楽しかった

お父さんは大企業の社長だから
僕はその跡取り息子として
窮屈な生活を送っていたけど

その分お母さんが僕を可愛がってくれたし
お父さんも休みの日には
遊びに連れて行ってくれたから

幸せだった


2年が経って僕は4歳になった

そして事件は起きた。


「──おそいなあ……。」


いつもは家庭教師が帰ったら
すぐにメイドが来て夕飯なのに
今日は何故か遅い

どうしたんだろう……?
外もなんだか静かだし

なんか胸騒ぎがして
僕は部屋を出た


「!!」


廊下に出ると血の匂いがした
まさかと思って
お母さんの部屋に走った

部屋に行くまでの廊下では
メイド達が死んでいた


「おかあさん!おかあさ…ん……?」


ドアを開けて目に入ったのは
血を流して倒れている
お母さんの姿だった

嘘だ嘘だ……
なんで…?なんでお母さんが?

震える足で僕は部屋を出ると
お父さんの書斎に向かった


「おとうさん……どこ…?」


屋敷中探しても
お父さんは見つからなかった
あるのは死体だけ

そして庭に出ると
1人の男がナイフを持って立っていた

僕はその男を知っていた

だって……その人は……


「……おとうさん…?」


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