空の少女と海の少年


──深夜のホテルの一室
ベッドで眠っていた由紀は
何かを感じて目を覚ました


額を流れる冷や汗を拭い
目を瞑ると意識を集中させる

視えたのは膨大な数の魔物達
闇に覆われて星が消えた空


ううん、
消えたのは星だけじゃない。


部屋にいた筈の5人の仲間も
忽然と姿を消していた


それが意味するのは
世界の終演への序章

由紀は掛け布団をぎゅっと握った


「……遂に来たんだ。」

「その様ですね。」

「優……いつから起きてたの?」

「由紀と同時ですよ。嫌な感じがしましてね。」


優はそう言うとベッドから降りた

カーテンを開けて窓の外を見ると
ホテルの下にも数匹の魔物がいた


優が気付いたなら
みんなも気付いたんだろうな。


由紀が思っていると
ドアが勢い良く開いて
奈央と玲と蘭が入ってきた


今何が起きてるのか
大体は分かっているのだろう

落ち着いてはいたが
気持ちが焦っているのが
由紀には分かった


「由紀……何が起きてるの?」

「……堕天使が、降りたんだよ。」


言葉に出すと改めて実感する

4人の表情はすぐに曇った


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