空の少女と海の少年
──花が咲き乱れる楽園に着くと
ミウはすぐに巨大な結界を張った
これで暫くは時間が稼げるが
リールや魔神達の前では
この結界は持って数分だろう
『王女様達は気付いているでしょうね。』
『当たり前だろ。早く行くぞ。』
サラはそう言って走り出すと
ユラ達も後に続いて走り出したが
ミウは何かを感じて立ち止まった
真っ青になっていくミウを見て
キラはゴクリと息を呑んだ
『……ミウ?』
『嘘……早すぎる…。』
ミウが呟くように言うと
ガラスの割れるような音と共に
楽園を守っていた結界が砕けた
そこに立っていたのは
リールと3人の魔神
『クスクス。やっぱり王がいないと力が弱まるみたいだね。こんな結界、意味ないよ。』
『……リール…何故……。』
『何故?……ああ、天界の天使達の事?あんなので足止め出来ると、本当に思ってたの?』
リールは楽しそうにクスクスと笑う
それだけで、
天界がどうなったのか
神々にはすぐに分かった
サラは歯を食いしばると一歩前へ出た
『……私が足止めする。早く城を守れ。』
『サラ!?ふざけないで『ふざけてなどいない!』
ミウの言葉を遮ると
サラは振り返って微笑んだ
不器用な笑顔には決意の色があった
ソウがミウの肩を叩いて静かに頷くと
ミウは拳を握り締めて、城に走った
神々が走り出すのを見ると
サラはリールの方に向き直り
どこからか雷牙を取り出した
『私は天使達程甘くはないぞ。』
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