空の少女と海の少年
「奈々ぁああっ!!」
結界を破るよう剣に力を込めて
テノンから目を離さずに奈々の名を叫ぶが
返事が返ってくることはなかった
奈々の力が弱まっていき
体の重力も、剣の重さも
本来のものへと戻っていく
テノンを押さえつけていた重力も
邪魔するものが無くなったテノンは
結界を上手く使いながら
雑になった陸の剣を避け
隙だらけの陸に、同じように
ナイフを投げて突き刺すと上に跳んだ
流れる血等気にしない
いや、違った
陸は自分の体から血が流れている
その事すら分かっていなかった
「……っこのやろおぉおっ!!」
怒りに満ちた瞳が映すのは
宙に浮かぶテノンの姿だけで
他には何も見えていない
ただ突っ込み、剣を振り回す
陸の無茶苦茶な攻撃を避ける事は
テノンは目を瞑ってでも出来た
仲間が傷ついた事で
怒りに支配されたか。
冷静さを失った者が
勝利を手にすることはない。
『炎神、貴様の負けだ。』
シュッと風を切る音と
肉を突き刺す音がその場に響いた
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