空の少女と海の少年


ポタリ、ポタリと
腹から流れ落ちる血

確認するようにそこに触れると
生ぬるい暖かさに手は紅く染まる


テノンはその場に倒れ
痛みに顔を歪めながら
前に立つ者を見上げた

蒼く透き通る剣をテノンに向け
片方の手で陸の剣を掴み
纏う炎までも凍らせていく

その蒼い瞳は氷のように冷たく
静かな怒りを秘めていた


ヒヤリと体に触れる冷気で
怒りに支配されていた思考が
だんだんハッキリしてくると
陸は前に立つ者を見て目を見開いた


「……海斗…?お前っ!なんで!!」

「馬鹿かお前。何年ダチやってると思ってんだよ。俺を騙したいんならもっと演技上手くなるんだな。」

「なっ……!蓮と楠木は!?」


海斗が後ろを振り返ると
陸も同じ方向を見る

傷付いて横たわる奈々を暖かな
太陽のような光が包み込んでいた

手をかざす春の空色の瞳と目が合うと
久し振りに見た柔らかな笑顔を向けられて
疲れた体が癒されていくのが分かった


「……んで、蓮は……今頃戦ってる。」

「戦ってる!?誰とだよ!!」


陸の焦った叫びに
海斗は遠くを見ながら呟いた


「……自分と。」


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