空の少女と海の少年


ざわつく会場の中には
由紀と奈央と優と玲と蘭
そして学園の校長とマスターの姿もあった


「おいひ〜。幸せ〜。」

「あれも食べたい!」

「これも食べたい!」

「「「……全部食べたーい!!」」」


会場の食べ物を食べ漁る
奈央と玲と蘭は明らかに場違いで
周りの天使や悪魔の呆然としていた

そんな3人を見て由紀は溜め息をついた


「……素晴らしく迷惑な客だね。そして場違い。」

「まあまあ。今日くらいは大目に見ましょう。」

「そうよ由紀ちゃん。楽しみましょうよ。」


鮮やかな色のカクテルを
一気に飲み干した校長は
また別のカクテルを手に取る

これでもう10杯目だ


呆れたように眉間を押さえる由紀に
スッと湯気の立つカップが差し出された
顔を上げると微笑むマスターと目が合う


「由紀さんの好きなカフェオレありましたよ。」

「ありがとうマスター。」


どっかの酔っ払いと違って大人だ。


心の中で毒づきながら
暖かなカップに口を付け
大きな窓ガラスの向こうに目を向けた


ちょうど、空を飛んでいた
天使達の純白の羽根が見えて
由紀は懐かしそうに目を細め
すぐに目を見開いて笑った


「……もっと楽しい事、見つけた。」


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