スタッカート
「……は?」
眉を八の字にしてそう聞き返す佐伯に、だから、とまた同じことを繰り返そうとしたとき
「誰が?」
と、言葉を投げられて。
そこでまた私は、黙り込んでしまったのだった。
「…親か?」
「ううん」
「友達か?」
「……多分、違う」
「?……彼氏?」
「……居ないから」
「じゃあ、誰なんだよ?」
そう訊かれて、う、と思わず声が漏れた。
「し、知り合い……?友達?分かんない……」
一生懸命、頭に浮かんだ「可能性のあるもの」をあげてみたけれど、どれも何となくしっくり来なかった私は、ただただ唸るだけだった。
佐伯はため息をついて、手にしていたコーラの缶に口をつける。
何故か顔が熱くなるのを感じながら、私は声を絞り出した。
「こ……この前知り合った、凄く意地悪で優しい……ん?どっちなんだろ、分かんないけど、……男の子がいて、その……その子が、凄く遠いところに行ってしまうような気がして苦しくなって、それで、」
「おい」
一生懸命言葉を紡いでいたのに急にそれを遮られて、私は火照った頬に両手を当ててたまま、隣に座る彼を見た。
「聞いてるこっちが、恥ずかしいんだけど」
そう言った、彼の頬は
微かに、赤みを帯びていた。