スタッカート

余りにも愉しそうに、銀のピアスの男の子が笑うので
私は酷く狼狽してしまった。


―お気に入り?


その言葉が、飲み込めない。
訳がわからない。


……ああ、そうか。

何か勘違いしているんだ、この男の子は。
その誤解を解くために、私は首を横に振った。

そういうことじゃないってことを。
他人だってことを。


…そう言おうと、口を開いたのに。



「何してんだ、お前」



背後から聞こえたその声によって、それは見事に遮られてしまった。
< 90 / 404 >

この作品をシェア

pagetop